LANの行き先を探せ!トーンプローブについて
病院内に張り巡らされているネットワークの裏側では何本ものLANケーブルで構成されています。そのLANケーブルの多くはEPS(Electric Pipe Space)/PS(Pipe Space)と呼ばれる小さな部屋内でハブに接続され、各部署や部屋の壁や天井に配線されています。また、病院では情報漏えい対策のため、系統の違う複数のネットワークを導入していることがあります。電子カルテなど院内の通常業務に使用する業務系LANや、外部業者とのやり取りを行うためにインターネットに接続できる情報系LANなど使い分けています。
ネットワーク工事時に工事業者に任せていればしばらくは触ることはないのですが、部屋の移動などによって業務系LANを使っていた場所から情報系LANに変えてほしいなどの要望があったり、ネットワークトラブル時にLANが断線してないかを調査したりします。その際に業務負担を軽減できるツールがありましたので、それをご紹介したいと思います。
背景
EPS/PS室内には各部屋からいくつものLANケーブルが集まっていてどれがどのケーブルなのか分かりづらくなっている場合があります。ネットワーク構築時に業者さんがLANケーブルにラベルを貼り付けてあったりしますが、ラベルが取れていたり文字が消えかかっていたり、前任者がケーブルを取り換えていてラベルを付けていない場合などがあります。そうなるとLANケーブルの区別がつかない状況になったりします。 最近NHKの番組であった、ケーブルアートの世界のような綺麗に整った配線であれば、 悩むことは少ないのかもしれませんが、長年運用してきた病院のLAN配線は複雑に絡み合っていて配線変更の作業は毎回苦労します。
以前はLANテスターというのを使って、見つけたいLANケーブルの端に親機を繋げて信号を流し、反対側の端に子機を繋げて信号が届くか確認する方法で調べていました。しかしこれでは目星がつけられない場合は何本ものLANケーブルを繋げて確認する必要があるので、手間がかかってしまいます。
このような作業をしている中、ネットワークの工事業者にトーンプローブというのを紹介してもらいました。
トーンプローブとは
トーンプローブというのは下記のようにトーンの送信機とプローブの受信機がセットになっていて、送信機にケーブルを繋いでトーン信号を流すと、プローブで直接LANケーブルに触れていなくてもピロピロピロ…という音が鳴り、目的のLANケーブルが見つけられるという製品です。
LANテスターではLANケーブルに電気信号を流すのですが、トーンプローブではトーン信号を送るので、直接触れていなくても目的のケーブルに近ければ近いほどピロピロの音が大きくなります。壁の中にあるケーブルでも発見でき、いくつものLANケーブルが集まっていても音の大きさで区別もできます。
使い方
基本的な使い方としては、調べたいLANケーブルにトーン送信機を接続してトーン信号を流した後に、受信機のプローブを近づけてボタンを押すとピロピロと音が鳴るので、目的のLANケーブルが特定できるというものですが、病院で購入したものは少し使い方に工夫を持たせた方が使いやすかったのでその使い方を紹介します。
まず、トーン送信機ですが、LANケーブルに接続するだけではなく、送信機についているアース線を近くのアースとなりえる釘や金属製のものに繋げておきます。これをすると明らかにピロピロの音が大きくなったので、聞き取りやすくなります。受信機のプローブはLANケーブルだけではなく電源ケーブルなどにも反応して雑音が混ざることもあるので、なるべく目的の音が大きい方が使いやすいです。
また、LANケーブルを探す側の端(トーン送信機がついているのと逆側)はハブやPCなどにつながない状態にしておくことです。安物のトーンプローブだからか、ハブやPCにつながっているとピロピロの音が格段に小さくなりほぼ聞こえなくなりました。ハブにつながっている状態でもピロピロの音が聞こえるものもあるそうですが、聞こえづらいという場合は接続を外して試すことをお勧めします。
まとめ
トーンプローブのおかげでネットワーク配線の変更作業がある程度省力化できました。少し使い方にコツは入りますが、目的のLANにラベルがついていない場合手当たり次第にLANテスターで接続せずに、ピロピロの音を頼りにある程度あたりを付けて、最後にLANテスターで導通確認すれば完璧です。
決して安いものではないので、個人的に購入することはないと思いますが、LAN配線の変更作業が多いのなら持っておいて損はないと思います。工事業者からトーンプローブの話を聞いてすぐに購入を決めてくれた上司に感謝です。
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