治療の背中を預かる!薬剤師とは?

医療の人々薬剤師

私が病院に入ったとき初めての飲み会が薬剤師の方たちとだったんですが、そこで話を聞いていると今まで知らなかった話が色々聞くことができました。今回はその薬剤師について書いていこうと思います。

薬剤師ってどんな仕事?

病院の医師の先生方が処方した薬を調合して薬を渡すのが薬剤師の主な仕事になりますが、実はそれだけではありません。その他の大きな役割として以下のものがあります。

  1. お薬の重複・相互作用の防止
    いくつもの病院を掛け持ちしていたり、複数の診療科を受診していたりする患者さんに対して同じような薬が出ていたり、飲み合わせが悪いお薬が出されていないかを確認しています。
  2. 残薬の調整
    家に残っているお薬や、飲み忘れの薬がある場合はその薬をなくすように一包化や服薬カレンダーなどを作って残薬を減らす取り組みも行っています。なぜそのようなことを行っているかというと、日本全国でそのような残薬を累計すると500億円以上あると言われています。なのでなるべく減らすように家に余っているお薬を持ってきてもらったり、場合によってはお宅に伺うこともあるそうです。
  3. 不要なお薬の削減
    上の項目と少しかぶるのですが、多くの種類が処方されている患者さんに対してお薬の処方を減らしてもらうように医師の先生方に提案するのも薬剤師の役割です。

またそれ以外にも医療用医薬品から一般医薬品まですべての薬を販売したり相談にも乗ってくれます。患者さんに服薬説明も行うので、患者さんの要望に合わせてお薬の種類を変えてもらうことも提案してくれます。

日々変わりゆく医薬品に対してのエキスパートで、すべての薬に対して幅広い知識を持っています。

薬剤師になるには

冒頭の飲み会の話なんですけど、薬剤師になるには昔(2005年以前に入学)は4年制の大学を卒業すれば薬剤師への受験資格を得ることが出来たと話していたのですが、現在(2006年以降)は6年制の大学を卒業しないと受験資格が得られないと言ってました。

以前説明した医師も6年間の医学部の大学を卒業して医師免許への受験資格が得られるので、薬剤師も同様の期間勉強する必要があるので、医師と同じくハードルが高いです。

薬剤師になるには薬学部に進む必要があるのですが、薬学部には4年制と6年制の学科に分かれていて、4年制のほうは研究者養成に進む人が多く企業などで研究・開発職に就く人が多く、6年制のほうは薬剤師を目指している方が多いそうです。もちろん4年制大学でも6年制へ編入したり、大学院に進学して薬剤師になる道もあり、6年制大学でも企業に就職して研究者になるかたもいるようです。

薬剤師の進路

薬剤師とは外れるのですが、薬剤師を取らず企業メーカーなどに勤務する人の中にはMR(Medical Representative)と呼ばれる職に就く人もいます。日本語訳すると「医療情報担当者」となり自社の医薬品を適正に使用してもらうために、情報提供や自社の医薬品の売り込みや普及活動など営業的な側面があります。直接調剤は出来ないのですが、営業成績によって高収入が狙えるらしいので薬剤師から転職する方もいるそうです。

働く場所

薬剤師が働いている場所で代表的なところは薬局の薬剤師です。最近はドラッグストアの売り上げが伸びて来ていて、色々なところにオープンしています。それに伴って薬剤師の活躍できる場所も増えています。薬剤師の半分以上がドラッグストアなどの薬局に勤めているとのことです。

また、私の働いている病院や診療所の薬局、企業などのメーカーに勤務する薬剤師、薬の卸売り業者の薬剤師、行政や学校などにも薬剤師がいます。

SEとの関わり

私の病院の薬局では、薬局独自で導入しているシステムがあり、システム課ではノータッチになっています。しかしシステム課で管理している電子カルテなどの医療情報システムとの連携のために薬品の登録・修正の依頼をされることが多くあります。

病院内の周知のために公開しているHPがあるのですが、ほとんどの部署はシステム課でフォーマットを決めてそれをもとに更新を行ってもらっているのですが、薬剤科は独自の規格でHPを運営していて、ITの知識にも明るいという印象です。

勤務例

私の職場の薬剤師は主に下記のように業務分担をしているそうです。

  1. 調剤
    調剤室で入院や外来の調剤を行う
  2. 監査
    入院・外来処方に対して監査を行う。処方箋の内容や薬の分量が正しいかなどを確認する。
  3. 混注
    注射室において、注射薬を点滴の中に混ぜる注射箋調剤を行う
  4. 病棟
    病棟において各業務のフォローを行う
  5. 遅番
    定時後の最後の患者の対応が終わるまで、調剤・監査、救急外来の対応など単独業務を行う
  6. 薬剤管理
    主に助手が担当し、問屋への薬剤発注・納品・返品など行う。

薬剤師のこれから

薬剤師は先生からの処方を見てその通りに調合して薬を出すだけの仕事だと思っていましたが、処方の内容がおかしければ疑義照会と言って、処方箋の作成者(医師)に内容を確認しなければなりません。 医師も疑義照会に対しては必ず応じなければならず、医師と薬剤師で協力してミスを減らす仕組みをとっています。(医薬分業というらしいです)

最近ではAIの進歩によって薬剤師の仕事が奪われると話題になっていますが、このような医師の補助や、患者さんへの服薬指導など調剤以外での業務があり気配り・心遣いの面ではまだAIに取られることはないと思います。

調剤の面でもロボットでの力加減などうまく調整するのは難しく、完全に置き換わることはまだ遠そうです。今後はAIを上手く利用しながら患者さんのために効率よく業務をこなしていく必要がありそうですね。

病院で働くまで良く知らなかった薬剤師ですが、身近な存在となった今、薬剤師についても勉強中です!

下記の本は薬剤師という職業を通して様々な人間ドラマがあり、薬剤師の業務についても知ることが出来ておススメです。